イギリスには、世界に誇る文化がたくさん存在します。<怖い話好き>というのも、その中の一つ。大勢のホラー作家が誕生し、ミステリーツアーがいくつも実施され、ロンドン塔をはじめ心霊スポットとして名高い観光地も数知れず。プラックリー村など、あまりの怪奇現象の多さに、<世界一幽霊が出る場所>としてギネス認定されてしまったほどです。個人的には、幽霊の目撃談が相次ぐホテル<ザ・ランガム・ロンドン>333号室に泊まったみたいんですが・・・・・高級ホテルなだけあって高いんだよなぁ。
そんなイギリスにおいて、怖い話は冬の風物詩。寒い夜、暖炉の周りにココア片手に集まって怖い話を語り合うというのが、冬の定番だそうです。この辺り、夏を怪談シーズンと考える日本とは文化が違って面白いですね。時期が時期ですので、今回はクリスマスにちなんだイギリスのホラー小説をご紹介したいと思います。ホラーアンソロジー『メグ・アウル:ミステリアス・クリスマス2』です。
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海外のホラー短編集に興味がある人
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今年も残すところあとわずか。世間はすっかりクリスマスおよび年末ムードです。師走、などと言われるほど忙しない時期ですが、こういうバタバタした感じ、結構好きだったりします。
イルミネーションなどで華やかな季節ですが、私はこの時期に、どこか薄暗く寒々しいものを感じます。気温の低さや、日照時間の短さが原因でしょうか。先日読んだ作品は、そんな気分にぴったりの一冊でした。山口恵以子さんの『見てはいけない』です。
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愛憎絡み合うサスペンス短編集に興味がある人
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死後、死者が一時的に現世に舞い戻り、心残りを晴らす。古今東西、ファンタジーやホラーのジャンルでよくあるシチュエーションです。死の先にも意識や世界がある、あってほしいというのは、人類共通の発想なのでしょうね。
よくあるシチュエーションだからこそ、どう個性的な色付けをするか、作者の技量が問われるテーマです。冷酷な金貸しのもとに仲間の亡霊が現れるチャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』、赤ん坊の体に死んだ夫が乗り移る加納朋子さん『ささらさや』、死者と生者を面会させられる能力者が主役の辻村深月さん『ツナグ』等、どれも魅力たっぷりの名作でした。最近読んだこの本も、とても面白かったですよ。藤崎翔さんの『冥土レンタルサービス』です。
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転生をテーマにしたヒューマンコメディに興味がある人
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どんなジャンルもそうであるように、ミステリー作品はしばしば批判の対象となることがあります。ネタが古い、キャラクターが凡庸、内容がごっちゃになっていて分かりにくい・・・物語に唯一絶対の正解はない以上、ある程度は避けられないことなのかもしれません。
ミステリーでよくある批判内容として、<謎解きがフェアじゃない>というものがあります。読者に対して正しく情報が提示されておらず、「これで真相を見破るの無理だろ!」という場合に出てくる言葉ですね。ミステリーはホラーと違い、基本的に謎解きを楽しむものですから、それが無理となると批判したくなるのも当然。逆に言えば、ここをクリアしていれば、ミステリーとしての評価はグンと上がる傾向にある気がします。その点、今回取り上げる作品はとても満足度が高かったですよ。歌野晶午さんの『そして名探偵は生まれた』です。
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意外性たっぷりのミステリー短編集が読みたい人
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振り返ってみると、子ども時代の行事は圧倒的に夏が多かった気がします。日が長いこと、日没後も屋外活動がしやすいこと、冬と比べると感染症による体調不良者も出にくいこと等が理由でしょうか。暑すぎて真夏は外出すらままならない現代とは、ずいぶん違ったものだなと思います。
創作の世界においても、子どもないし子ども時代が絡んだ作品では、夏の行事が重要な役割を果たすことがしばしばあります。恩田陸さん『蛇行する川のほとり』では演劇祭準備のための夏合宿が、東野圭吾さん『レイクサイド』では避暑地でのお泊り夏期講習が、ミステリーの舞台となりました。夏のきらきらした眩しさと、絡み合う人間模様の生々しさが、いい対比になっていたと思います。今回取り上げる作品では、夏の林間学校での惨劇が描かれていました。櫛木理宇さんの『七月の鋭利な破片』です。
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子どもが絡んだサスペンスミステリーに興味がある人
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世界のホラー文化において、日本の<妖怪>というのは、かなりユニークな存在です。海外の<化け物>の場合、その正体は、恨みを持ってモンスター化した元・人間か、悪魔という展開がしばしば。一方、<妖怪>の場合、その正体は自然現象や物、動物、人間そのものではなく感情ということが多いです。森羅万象、すべてに魂が宿ると考える日本らしい存在だなと、しみじみ感じ入ってしまいます。
文化性の違いもあってか、妖怪が登場する作品を挙げるとなると、大半は日本のものになります。あまりに有名すぎる水木しげるさんの『ゲゲゲの鬼太郎』はもちろんのこと、京極夏彦さんの『豆腐小僧シリーズ』や畠中恵さんの『しゃばけシリーズ』。二〇二五年度後期の朝ドラ『ばけばけ』を連想する方も多いでしょう。ユーモア、切なさ、懐かしさ、所々でじっとりした怖さを感じさせるのが、妖怪作品の特色です。そんな中、どちらかといえば怖さに振り切れてはいるものの、この方の妖怪作品も大好きなんですよ。今回ご紹介するのは、三津田信三さんの『妖怪怪談』です。
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妖怪が登場するホラー小説に興味がある人
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SFやホラーのジャンルにおいては、超能力・霊能力・魔力といった異能が頻繁に登場します。と同時に、異能を取り締まったり、サポートしたりする組織や職員が出てくる機会も多いです。日本に限らず海外でも同様なので、万国共通の発想なのかもしれません。
この手の存在としては、マーベル・シネマスティック・ユニバースに登場する武装組織<S.H.I.E.L.D>、SCP作品世界で暗躍する<SCP財団>などが有名です。タイムリープやタイムトラベルといった能力が登場する作品だと、能力者によって勝手に歴史改変が行われないよう管理する<時空管理局>(名称は違うことも有)なる存在が出てくることも多いですね。「自分もこうした組織の一員だったら・・・」と空想した経験がある方、私を含めて、結構多いのではないでしょうか。今回は、私が大好きな秘密組織・捜査員が登場する作品をご紹介したいと思います。西澤保彦さんの『念力密室!』です。
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SF設定が絡んだミステリーが読みたい人
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クリエイターに必要な能力は色々あります。その中の一つは発想力。読んで字の如く、物事をクリエイト(創造)するのが仕事なわけですから、アイデアが湧かなくては始まりません。私は先日、童話を創ってみる機会を得たのですが、まあ、全然アイデアが出ないこと出ないこと。頭に浮かぶのは聞いたことがあるストーリーばかりで、たった三十分足らずの時間だったにもかかわらずヘトヘトになってしまいました。一から何かを生み出せる方達って、本当に天才だなと思います。
当然ながら、このブログで取り上げてきた作家さん達にも、発想力は必要不可欠。その発揮の仕方も十人十色、それぞれ個性があって面白いです。中でも、この方の発想って、ユーモアたっぷりで大好きなんですよ。今日ご紹介するのは、藤崎翔さんの『オリエンド鈍行殺人事件』です。
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どんでん返しのあるユーモア小説短編集が読みたい人
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「嘘ついたら針千本飲ます」「嘘つきは地獄で閻魔様に舌を抜かれるよ」。誰しも人生で一度や二度、こうしたフレーズを見聞きしたことがあると思います。嘘というのは、事実とは異なる言葉を言って他者を騙すことなわけですから、基本的には良くないものとされがちです。昔からある民話にも、嘘つきがひどい目に遭い、正直者が報われるというパターンは山ほどあります。
とはいえ、すべての嘘が悪いものなのか、断罪されるべきものなのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。時には誰かのためを思って嘘をつくことだってあるでしょう。一言で<嘘>といっても、そこには無数の背景や事情が存在するのです。今回は、様々な嘘が出てくる作品を取り上げたいと思います。小倉千秋さんの『嘘つきたちへ』です。
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嘘と騙しに満ちたミステリー短編集に興味がある人
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子どもから大人まで、長く社会生活を送っていると、グループを組む機会がしばしばあります。純粋に気が合ってできた仲良しグループもあれば、教師や上司の指示でチームを作ることもあるでしょう。ここでの人間関係が円滑か否かで、物事の成否は大きく変わります。
そんなグループ行動ですが、集まるきっかけとして、意外と<この人たちとつるむしかなかったから>というパターンが多いです。一人よりも集団でいた方が助かる局面は多いので、この動機自体は決して悪いものではありません。とはいえ、私自身を振り返ってみると、こういう<別に気が合ったからではない、不可抗力的に集まったグループ>が、一番揉め事が多かった気がします。ただ揉めるだけならまだしも、取り返しがつかないことが起きる可能性だってあるかも・・・この作品を読んで、そんなことを考えました。貫井徳郎さんの『不等辺五角形』です。
こんな人におすすめ
・<藪の中>状態の推理小説が読みたい人
・インタビュー形式の小説が好きな人
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